長年連れ添った大切な相棒を手放すことにしました。今回のタックル更新のため、オークションに出品していた2台の10セルテートが、それぞれ新しい持ち主の元へと旅立っていったのです。
10セルテートがデビューしたのは2010年。あれから早15年。今回は、そんな時代の変化を感じつつ、私がこの2台のセルテートとどのように過ごしてきたのかを振り返りたいと思います。
まず手放したのは、セルテート2004CH。これは今思えば、かなり異質な存在でした。1000番台のコンパクトなボディに、2004番のスプール、そして1回転75cmという驚異的な巻き取りスピードを誇るハイギア仕様。まさに「全部盛り」のような一台です。
ボディ素材には、頑丈なスーパーメタル(アルミ素材)を採用。軽量化のためには不利なはずですが、あえて1000番ボディと組み合わせることで、リール全体の重量は抑えつつ、ワンサイズ上の負荷にも耐えうる剛性を確保するという、大胆な設計思想が光っていました。
しかし、オークションでの人気は今一つ。セルテートのハイギアモデルでありながら、コンパクトボディという組み合わせが、一般的なニーズに合わなかったのかもしれません。2度の再出品を経て、ようやくスタート価格で落札されました。
この2004CHは、私にとって特別な存在でした。主に以下の3つの釣りで、そのポテンシャルを最大限に引き出してくれたのです。
沖合で突如現れるメバルのボイル。そんなチャンスを逃さないために、軽量なシンキングペンシルを遠投し、反応がなければ素早く回収して次のボイルを探す。この一連の動きにおいて、ハイギアの回収スピードはまさに武器でした。手返し良くルアーをローテーションし、貴重な一瞬を逃さず捉えることができたのです。
春から初夏にかけて、河川でイナッコ(ボラの稚魚)を捕食するシーバス。彼らは大型ルアーにはなかなか反応せず、5g程度の小型シンキングミノーに高反応を示すことがよくあります。しかし、シーバスロッドでは、そのような軽量ルアーの飛距離が出ません。
そこで私が取った手段は、柔らかいフィネス系のバスロッドとの組み合わせ。しかし、そこに3000番台のリールを装着すると、タックル全体のバランスが悪くなってしまいます。そこで白羽の矢が立ったのが、コンパクトで軽量な2004CHだったのです。
特筆すべきは、その頑丈さです。ゴロタ浜や橋脚際など、シーバスがストラクチャーに逃げ込もうとする際、強引にドラグを締め上げて止め、安全な場所まで引きずり出すという、今思えばかなり無茶な使い方をシーズン中繰り返していました。それにも関わらず、リールのゴリ感やローターの不具合は一切出ず、最後までタフに戦い抜いてくれたのです。
続いて手放したのは、セルテート2500。13セルテートが登場した頃、「TRY MAGSEALED」と書かれたインパクトのあるパッケージで、比較的安価に販売されていたモデルです。さらに驚きだったのは、標準のハンドルに加え、なぜか金色の派手なハンドルが付属していたこと(長さは通常と同じ)。まさに、10セルテートの最終兵器と言える謎仕様でした(笑)。結局、この金ピカハンドルは一度も使うことはありませんでしたが…。
こちらは深溝スプールを搭載しており、PEラインを200m以上しっかりと巻き込むことができました。そのため、タチウオ、スピニングでのキジハタ狙い、釣ったアジを泳がせてのシーバス、ブラックバス、そしてエギングといった、特定の釣りに特化せず、様々な釣種で汎用的に活躍してくれました。
色々な釣りに使えるという点が評価されたのか、オークションでの反応は非常に良く、かなり強気な即決価格を設定していたにも関わらず、出品からわずか2日で落札されました。
今回、この2台のリールを手放したわけですが、10セルテートはデビューから既に15年以上が経過していました。リール自体はまだまだ使用できたのですが、2年に一度のメンテナンスに出す時期が近づいていたこと(まるで車検前に車を買い替えるような感覚です)が、手放す大きな理由となりました。
当時、10セルテートはダイワ初のマグシールド搭載機であり、弧を描くように成型されたエアローターなど、革新的な機能を数多く搭載した、ダイワリール進化におけるマイルストーンのようなモデルでした。
しかし、その後、マグネシウムに匹敵すると謳われた(実際にはそうではなかったかもしれませんが)ボディ素材「ザイオン」の普及や、リール自体の設計変更による軽量化が進み、現行機種と比べると、どうしても「重さ」というハンディキャップが目立つようになってきました。
実際に、手元に残していた10セルテート2004CH(200g)と、新しく購入した17セオリー2004(175g)を並べてみると、その差は歴然です。肉抜き加工が進み、ボディ周りもかなりコンパクトになっていることが一目瞭然です。
僅か数年の間に、リールの設計思想は大きく変化しました。まさに、時代の変化というものでしょうか。
長年私の釣りを支えてくれた10セルテート。数々の魚との出会いを演出し、思い出を共有した大切な相棒たちに、心から感謝したいと思います。「ありがとう、そして、新しい持ち主の元でも活躍してくれ!」