皆さん、こんにちは!
【Re:ゼロから始めるSUPフィッシング Vol.3】では、初めてのSUPフィッシングに選んだポイントが、なかなかにスリリングな場所だったというお話をしました。
恐怖と期待が入り混じる中、いよいよ今回はその海へ漕ぎ出すときがやってきました。
SUPを海に浮かべるには、エントリーしやすい砂浜やスロープが最適です。今回のポイント「竹居」は、防波堤の外側がきれいな砂浜になっており、出航準備までは驚くほどスムーズに進みました。
命に関わる忘れ物はないか、指差し確認。逸る気持ちを抑え、何度も頭の中でシミュレーションを繰り返します。準備万端、いよいよSUPを海に浮かべると、岸に近い穏やかなエリアでは、パドルで漕いだ分だけ素直に進んでくれました。「お、意外と安定してるじゃないか!」なんて、この時はまだ余裕たっぷりです。
とはいえ、いきなり沖に出るのは怖いもの。まずは岸からさほど離れていない、何かあってもすぐに戻れる距離で釣りを始めることにしました。
この日のタックルは、過去に一度だけ遊漁船で挑戦したことのある「鯛ラバ」です。ロッドは奮発して手に入れたダイワの「紅牙MX」。しかし、専用リールなんて持っているはずもなく(実は今も持っていません…笑)、ロックフィッシュ用に使っていた「タトゥーラTypeR」をセット。ちぐはぐな組み合わせですが、まずはこれでやってみるしかありません。
今でこそSUPでの鯛ラバはメジャーな釣り方になりましたが、当時はネットで検索しても情報は皆無。まさに手探り状態です。
唯一の頼りは、沖に浮かぶ数隻の釣り船。彼らの動きをよーく観察していると、どうやら僕と同じように鯛ラバをやっている様子。「よし、ポイント選びと釣り方は間違っていないはずだ!」と、少しだけ自信が湧いてきました。
この時使っていた鯛ラバは、アブガルシアの「カチカチ玉45g」。瀬戸内海の基準ウェイトが60g前後と言われる中で、これは少し軽い選択でした。さらに追い打ちをかけたのが、何を血迷ったか巻いていたPEライン1.5号という、やたらと太いライン…。
SUPフィッシングでは、潮の流れと風の影響をダイレクトに受けます。そのため、仕掛けを真下に落とす「バーチカル」な釣りが基本。しかし、僕のタックルはというと…
水深わずか10mほどのエリアでさえ、ラインはあっという間に斜めになり、どこを釣っているのかさっぱり分かりません。まさに、風と潮に翻弄されるためのお手本のような、最悪のセッティングでした(苦笑)。
それでも諦めずに、何度も鯛ラバを落としては巻いてを繰り返します。
「もっと潮上にキャストして、着底する頃に真下に来るように調整してみよう」 「巻き上げるスピードを、もっと遅く…いや、速くしてみたらどうだろう?」
試行錯誤を繰り返していると、その瞬間は突然やってきました。
「コンコン、ググッ!」
手元に伝わる、小気味よく竿先を叩くようなアタリ。これぞ真鯛特有のバイト(魚が食いつくこと)です!
「ここでバラしてたまるか!」
高鳴る心臓を抑えつけ、バレないように一定の速度で慎重に、でも力強くリールを巻き上げます。海面に姿を現したのは、キラキラと輝く魚体。用意していた短いネットで無事にランディング成功!
タモに収まったのは、手のひらサイズのかわいらしいマダイでした。それでも、自分の力で、SUPの上で釣り上げた初めての一匹。サイズ以上の大きな感動が、全身を駆け巡りました。
…と、なんとか初釣果を手にすることができましたが、正直これはビギナーズラック。広大な海で、何の根拠もなく闇雲にルアーを落として、たまたま魚の目の前を通ったに過ぎません。
この「たまたま」を「必然」に変えるには、どうすればいいのか?
この価値ある一匹をきっかけに、僕の試行錯誤の日々が本格的に始まりました。そして、この後何度か海に出るうちに、SUP鯛ラバで釣果を出すための「ヒント」が、おぼろげながら見えてくるのです。
その話は、また次回。