今年もやってきました、夏の足摺ロックショア遠征! 例年とは違う黒潮の複雑な流れが、高知の海にどんな変化をもたらしているのか。期待と興奮を胸に、足摺で2日、宿毛で2日、合計4日間の釣行に挑みました。
遠征初日、金曜日の夜に高松を出発し、ノンストップで足摺へ。この判断が功を奏し、幸運にも通い慣れたお気に入りのポイントに入ることができました。天気予報は降水確率80%。道中は雨が降ったり止んだりの不安定な空模様でしたが、風がなく気温も上がらないため、この時期にしてはかなり釣りやすいコンディションです。
雨で滑りやすい岩場での怪我を避けるため、この日は軽快なワンセットを選択。3ピースのオーバーゼアグランデにBG8000番を組み合わせ、いざ釣行開始です。
主力ルアーの「撃投ストライク」ピンクグローをセットし、沖のボトムを直撃。夜明けのスタートダッシュでカンパチを仕留め、あとはのんびり根魚でも、という計画でした。
しかし、開始から1時間、太陽がすっかり昇っているのにバイトは無し。どうやら潮が効いていないようで、お目当ての魚が入ってきていない様子。そこで、作戦を切り替えます。中層から表層を狙い、とにかく1匹でも魚の顔を見ようと決めました。
この作戦変更が見事にハマります。表層付近を引いてくると、ひったくるような力強いバイト! 横に走る独特の引きは、そう、カツオです! 予想通り美味しそうなカツオが上がってきました。カツオの群れは足が早いので、釣った魚をタイドプールに放り込み、すぐさまキャスト。2匹、3匹、そして4匹目と、短時間で立て続けにヒットを楽しめました。
カツオの群れが去った後は、再び無の時間が1時間ほど続きました。この間も土砂降りの雨が何度も降り、気温は高くないものの、高い湿度がじわじわと体力を奪っていきます。
ショアジギングで魚を釣るのに大切なのは、「釣れなくても投げ続ける」こと。魚はいつ入ってくるかわからないし、投げ続けなければ潮の変化にも気づけません。そう自分に言い聞かせながらキャストを続けていると、ようやく右から左へ良い流れができ始めました。
このポイントは、正面が浅い岬の先端のようになっていて、沖合でも水深があまりありません。そこに右から左の流れがぶつかると、正面に「沸き塩」と呼ばれる潮のヨレが生まれます。逆に、右側は急深な地形。右から入ってきたベイトを、魚が追い詰めて正面の浅い場所で捕食する。数年間通ってようやく見えてきた、このポイントの「激熱タイム」の到来です。
まずは右手にキャストし、ボトムをキープしながらラインが正面に来るまでジグを流します。正面付近で一気に中層までしゃくり上げ、わずかなステイを入れる。これは、逃げて疲れたベイトが、壁際で一瞬怯む状況を意図的に作り出すイメージ。激しい動きとわずかなステイに、「撃投ストライク」は素直に反応してくれます。
毎回、キャストの距離やステイの時間、アクションの組み合わせを微妙に変えながら打ち続けます。暑さや疲労で心が折れそうになるけれど、「魚は絶対に入ってくる」と信じてキャストを繰り返す。バイトが出なくても打ち続けること、毎回少しの変化をつけること。このポイントが教えてくれた、当たり前だけど一番大切なことです。
そうして投げ続けていると、ついに答えが出ました。狙い通り、ジグを正面まで流して激しいアクション後のステイに、力強いバイト! カンパチだと確信し、ロッドを思い切り煽ってフッキング。魚に抵抗する隙を与えないよう、ロッドを左右に激しく煽り、全力で巻き上げます。以前はドラグを出して魚に優しく寄せる釣り方も試しましたが、カンパチ相手では危険な行為。ボトムのサンゴに潜られてラインを切られるからです。
手前まで寄せてもまだ気が抜けません。岩場の海面下は大きくえぐれており、魚に回り込まれると厄介です。水面に魚体が見えたら、波のタイミングに合わせて一気に抜き上げます。目の前で激しい抵抗にあいましたが、なんとか引き抜くことに成功。上がってきたのは、60cmの美しいカンパチでした。
フッキングから抜き上げまで、ほぼイメージ通りに釣り上げられた最高の1匹。この1匹で、遠征の疲れも吹っ飛びました。